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いつも音楽がそばにある集い場「居食屋 和」
店内に入るとまず目に入ったのが壁に飾られた楽器とレコードのジャケット。
全く想像していなかった空間に驚く。
来年創業20年を迎えるという居食屋 和は古謝さん夫妻が二人で営んでいる。
新町通りのちょうど真ん中辺り。
嘉手納町の出身という古謝夫妻は嘉手納の都市開発事業の一環で「空き店舗対策」というプロジェクトがあることを商工会に勤めていた同級生や役場勤めだった兄弟に聞いて、50歳を目の前にして、独立を決めた。
そのプロジェクトの一件目となった「居食屋 和」は現在の場所ではなくもっとみなと通り寄りで今より二倍ほどの広さの店舗で始まった。
夫婦二人で出来るくらいのもう少し小さな店舗でやりたいなと考え始めていた5年目を迎える頃、現在の場所に移転した。
店主の古謝さんは知り合いが経営していたドライブインでの飲食業人生をスタートさせ、色々な分野のレストランや飲食店を経験していたこともあり、メニューは和洋折衷のなんでもある居食屋だった。
メニュー表から消えてもオーダーされる、オープン当初から根強い人気のテビチ料理。今ではふるさと納税の返礼品に。
居酒屋なのになんでこんなのもあるの?と面白がってくれる人もいたが、「結局、定番の居酒屋メニューが喜ばれるし頼まれるわけ。メニューはどんどん変わっていったよ。今のメニューでも出るものは決まっているしね」と。
カウンターの上にはおすすめメニューの黒板があって、クジラの赤身刺、てびちの唐揚げ、真ホッケ、タコスなど…定番とは少しだけ外れるようなラインナップも。
てびちの唐揚げはオープン当初からのメニューで、仕込みの比重や保存や提供時間などを考慮して、取りやめていた時期が二年ほどあったとのこと。
「二年も止めてて、メニューにも書いてないのに、てびち、ちょうだいって頼む人がいるわけ。面白いよね。もう二年も止めてるよって言っても頼むんだから」とホールを担当する奥様が笑って話してくれた。
お客様の声により復活し、保存方法や調理の仕方を工夫し、外せない定番メニューになった。
そして、和のてびちは嘉手納町のふるさと納税の返礼品としても登録されている。
沖縄料理の定番メニュー”ソーミンチャンプルー”は創業当時から、ちょっと太めでもちもち食感がたまらない素麺を使っている。シンプルな味付け、シンプルな具材。やっぱりここに来ると食べておかないとね!となる逸品。
地元でお店を構える意義。地域と音楽でつながるまちとひと。
店内入り口横には泡盛のキープボトルが綺麗に並んでいた。
ボトルの数が常連様の多さを物語る。
「昔はソフトボールのメンバーが練習後に来てくれたり、模合で毎月使ってくれるグループがいたり、役場の職員が来てくれたり…。歳を重ねて来てくれる頻度が減った人もいるね」と。
「コロナが来て、団体でお酒を飲む習慣がパッタリと消えたことで、お店の使われ方は変わったよ」「それでもずっと来てくれている同級生や模合グループもいてくれるからありがたいよね」と話す古謝さんの笑顔は本当にいいお客様に囲まれていることを容易に想像させてくれた。
飲食店としてだけではなく、大好きな音楽で活性化する町を見ていたい
木製の歴史を感じる看板や、シーサーが見守る外観から想像する店内はこれぞ沖縄の居酒屋!!というような短冊のメニューがわーーっと貼られ泡盛の一升瓶が所狭しと並ぶ居酒屋さん。
扉を開けた瞬間からその想像は見事に裏切られ、壁には楽器やレコードのジャケットが綺麗に整列して貼られ、正面には大きなスピーカーが二台設置されていた。
「居食屋 和」は音楽のある酒場だということが瞬時にわかる内観。
舞台というほどではないかもしれないが、演奏できるスペースが確保され、生演奏を楽しめるそうで、「事前に言ってくれれば演者も手配するよ」と古謝さん。
「三線の出来る人も呼べるから、観光客もたのしめるはずねー」と。
その光景がたやすく想像できる和という空間。
壁に飾られたり収納された楽器たち。
古謝さん自身も音楽を楽しんでいるとのことで、コロナ以前は近隣の飲食店や有志を募り、毎月一回、音楽イベントを開催していた。
新町通りの広場になっているスペースを屋台村として、飲んで食べて歌える空間としての企画、運営もしているそうで、定期開催を望む声も出てきているので、そこにも対応していきたいねと意気込みを優しい口調で語ってくれた。
毎年一回、フォークソングフェスタも開催し、演者としても参加され、「音楽のまち 嘉手納」の一端を担っている。嘉手納の中心地の真ん中に「居食屋 和」がある。
「居食屋 和」詳細は↓こちらから