特集
身も心も満たしてくれる「HUNGRY ANGRY」
お腹空いて怒ってる…
インパクトありすぎる店名にマラサダを手にする女の子。一度見たら忘れない目を引くロゴ。
アポ取りのDMでのやり取りから落ち着きがあって、物腰柔らかい感じの印象だったオーナーの伊佐さん。あまりに優しい空気感がメッセージの中に溢れすぎていて、勝手に「沖縄のおばちゃん」を想像し、ロゴや店名から感じる強さとのギャップ…と思っていた。
優しい空気感と店名のインパクト
はじめましての挨拶をすると、若くて、優しそうな沖縄顔の青年が出てきてくれた。その場で素直に驚いてしまい、DMでの第一印象の話をすると「そんな年いってる感じの文面でした？」と笑ってくれた。
そして「嘉手納高校出身ですよね？」と。
お話を伺う前日、道の駅かでなで他のお店の方とお話をさせてもらっていたとき、HUNGRY ANGRYの店頭に立ってお店の中の人と話す男性に見覚えがあった。
私が教育実習生として嘉手納高校に行っていたときに高校生として在学していた子だった。
子といってももう3◯歳。
声はかけられなかったけど、あれは・・・と思って見ていた。
当時、慣れない実習にドタバタしていた私たち教育実習生のことを、色々と気にかけてくれていた彼が、10年以上経った今も変わらずにお店に通うほどの友達であることに、勝手に少しホッとしてしまったのは、当時と同じ空気感に懐かしさを覚えたからかもしれない。
それと同時に、嘉手納という地域の小ささ、どこかで繋がる感じ。嬉しくなった。
みんなが集まれる場所を。アメリカの文化も入り交じる嘉手納町でハワイアンな空間の提供
嘉手納町兼久でHUNGRY ANGRYはハワイアンテイストのカフェバーとしてスタートした。「58号線沿いなんですけど、綺麗にバス停に隠れてて、言ってもわからない人が多い」と笑う。
それでも前職の砂辺のバーの頃からのお客様が来てくれたり嘉手納の外国人のお客様、地元のお客様で賑わう。
その場所でお母様が洋服屋さんをしていたそうで、みんなが集まれる場所を作りたいと飲食店経営の野望が芽生えた。
元々基地の中で働いていたこともあったからか、修行先に選んだのは砂辺にあるアメリカンテイストのバー。
当然の流れのように独立して出すお店はハワイアンなカフェバーとなった。
道の駅のリニューアルオープンの際にかかった店舗出店に応募し、二店舗目への挑戦を決めた。
ハワイアンテイストのカフェバーを経営しているからハワイアンドーナッツのマラサダ。
カフェバーではやってないことをやりたくて、1からマラサダを研究して独学で作り上げた。カフェバーではスイーツは出していないとのことで、「同じものをやっても面白くないし、新しいことやりたかったから。」と沖縄顔の優しい青年が強く語る。
「パンを作っている知り合いもいなくて、本当に独学で。機械もいろいろ試したし、やり方も色々考えて…。」1年かかって完成したという。
HUNGRY ANGRY。
お腹が空いて怒っているのを、美味しいものをたくさん食べさせてお腹いっぱいにしてあげようという想いで命名された店名。
受けとったマラサダは「でっか！」と声が出てしまうほど大きく、まず、怒りを忘れてワクワクしてしまう。
粉から成形してマラサダとなってお客様の手に渡るのを見てるのが一番楽しいと話す伊佐さんは、発酵機を使わずに毎日気温と湿度を確認して種を作っているという。
「雨降ってきたの気づくの遅くて、湿度でだれたりとかもあって。慣れてきても気温や湿度は毎日違うから、ずっと気を張ってないといけないし、初心でいられるからちょうどいいですよ」と笑う。
そう捉えて、マラサダに向かう姿勢は本当にすごい。慣れても抜けないってなかなか辛い気もするのにそれを楽しめる余裕…。
高校時代かなりのわんぱく少年だった友達の彼を重ねてしまうのはちょっと違うけど、頼もしいなーと心の底から感動してしまった。
嘉手納町としての特徴を出すために紅芋のマラサダも開発。とてもキレイな紫色。冬場には出回る紅芋の数が少なくなるそうで、週末限定で提供している。
沖縄の文化にあるシーミーやお盆の際の需要も高く、お持たせにもちょうどいい。
「今は精一杯お店を続けることが第一だけど、商売家系なのでまた次の店舗も考えていきたいですね。」と話してくれた。
嘉手納町出身で嘉手納町で店を構えていることは町の財産。そういう人たちが増えていくことがきっと嘉手納町の発展に繋がる。
「HUNGRY ANGRY」詳しい詳細は↓こちらから
ライター : 古市萌